さて、今回はTPPが日本とアメリカの会計士に与える影響について、といった少々専門的なお話です。TPPは、何も国家間だけの問題だけではなく、様々な業種において影響を与える内容となりますので、関心を持っておく必要があります。また、就職活動をされる学生の方、転職活動をされる方も同じ様に、希望の業種・職種において、TPPがどのような影響を与えるのかを常に追っておくと良いでしょう。
TPPとは?
まず、皆さんはTPP (Trans-Pacific Partnership)とは何かをご存知でしょうか?
TPP (Trans-Pacific Partnership)、つまり、環太平洋パートナーシップ協定とは、環太平洋上の国々の間で、様々な分野において自由貿易を促進しようとする条約のことです。
現在はアメリカやオーストラリア、シンガポールを始め、多くの国々との条約を通し、各国間の関税や投資、サービス貿易等のルール作りが進められているようです。
http://www.cas.go.jp/jp/tpp/q&a.html
このTPPに日本が参加しようとしていますが、一部の業種においては、他国のスタンダードが日本に入ってくることにより、良く言えばサービスの質が向上するのではないか、また悪く言えば日本のスタンダードが荒らされてしまうのでは無いか、と言った意見も聞かれるようです。
TPPの日本とアメリカの公認会計士・税理士に与える影響は?
さて、公認会計士、もしくは税理士といった職業はどの様に変わるのでしょうか?
これは、TPP政府対策本部における“TPPに関するQ&A”にて、以下の様に記載されています。
「現在、TPP交渉で、単純労働者の移動や医師や看護師など個別の資格の相互承認(国家の資格・免許などをお互いに認め合うこと)についての議論はなく、いわゆる「単純労働者」や「質の悪い医師や看護師」等が入国しやすくなることはありません。」
http://www.cas.go.jp/jp/tpp/q&a.html
上記により、現時点ではTPP上で会計士の資格の相互承認は交渉の対象にはなっていないようです。つまり、仮にTPPが締結されたとしても、アメリカの公認会計士は日本では同様に働くことはできず、同様に日本の公認会計士はアメリカでは同様に働くことができない、ということです。
これは、税制というのはその文化に根付いて作られている側面があるため、日本の税制とアメリカの税制の違いを考えると、当然の結果の様に考えられます。
TPP、まだまだどうなるかわからない?
とは言え、現時点ではまだ交渉の前段階、最終的にはどの様になるかわかりません。
日本の税理士会もその点は心配をしているようで、政府に対し「TPP交渉参加に関する意見」という意見書を提出しています。
その中で、「今後もこの(個別の資格についての議論は無い)見解に沿った交渉が継続されることを希望する」としています。
http://www.nichizeiren.or.jp/guidance/pdf/tppiken130624.pdf
まだまだ交渉の前段階、実際に交渉に入り、新たに法律が施行されるまでにはかなりの時間がかかりそうですが、会計士の資格のみならず、様々な分野に影響を与えるこのTPP、当分の間は目が離せないでしょう。
*上記の情報、及び、本記事は、あくまでも2013年8月末時点における情報を元に記載した内容となっておりますので、予めご注意ください。
参考リンク
内閣官房 TPP政府対策本部 http://www.cas.go.jp/j
リーディングカンパニー米国公認会計士事務所