さて、今回はアメリカでの教育費と税金の関係についてです。
アメリカで大学に行く、ということは、非常にお金の掛かることです。それは、留学生としてアメリカに来る場合はもちろん、アメリカ市民にとっても簡単な問題ではありません。実際に、4年制大学に直接進学するとお金がかかるため、まずは2年生のカレッジ(日本でいうところ の短期大学に相当)へ進学し、必要な単位をそこで取得してから4年生大学へ編入する、というのも一般的です。
そこで、今回はアメリカにおける教育費と税金について考えてみましょう。
*今回のトピックに関しては、米国居住者が対象であり、留学生として米国に来ている場合には適用できないケースが多いので、詳しくは弊社までご連絡ください。
一般的にアメリカにおける教育費の税額控除、及び、課税所得の控除としては、下記3点があります。
1) アメリカン・オポチュニティ・タックス・クレジット(American Opportunity Tax Credit=AOTC)
- 一人あたり最大$2,500の税額控除
- 高校教育を終え、それ以上の教育を受ける際に、4年間のみ適用可能
- 実際の税額が$0だった場合においても、その年に税額を控除する金額のうち、40%までが、還付の対象となる
- 対象となる経費は、授業料、テキストブック代、及び、必要な諸経費
- 現在(2013年8月時点)では、2017年12月までこの税額控除が予定されている
これは、教育費における税額控除としては一番控除額の高いタックスクレジットとなるので、可能であればまずこの税額控除が取れるかどうかを検討しましょう。
2) 生涯学習クレジット (Lifetime Learning Credit=LLC)
- 最大$2,000の税額控除(合計)
対象者が複数人いたとしても、最大$2,000となる。 - 実際の納税額が$0だった場合には控除することができない。
- 適用可能年数に制限は無い
- 対象となる経費は、授業料、テキストブック代、及び、必要な諸経費
3) Tuition and Fees
- 最大$4,000の課税所得の控除
税額控除と異なり、税額を算出するための所得からこの金額が控除となるので、上記2点(アメリカン・オプチュニティ・タックス・クレジットと生涯学習クレジット)よりも効果は低い - 適用可能年数に制限は無い
- 対象となる経費は、授業料、テキストブック代、及び、必要な諸経費
以上の3点が、アメリカの教育費における税額控除、及び、課税所得の控除方法となります。
上記の3点のうち、どの方法を取る事で一番節税効果があるかは、その方の所得や確定申告の際のステータスによって異なるので、必ず専門家の方へお問い合わせください(お問い合わせへのリンク)。
また、上記以外に、教育費の支払いの為に学生ローンを組むケースもあります。この学生ローンにかかる利子は控除の対象となり得ます。この利子の控除では、項目別控除を選択する必要はありません。
*学生ローンの控除は、上記3つの教育費の控除と併用することが可能です。
**また、どの方法をとった場合でも、保険、医療費、家賃、交通費、生活費等は控除の対象とはなりません。
尚、これらの控除に関しては、所得制限があります。つまり、一定の所得以上になると、これらの控除が減額、もしくは全く利用できなくなる可能性もあるので、弊社までお問い合わせください。
さて、今回はアメリカの教育費における税額控除、及び、課税所得の控除に関して話をしてきましたが、如何でしたでしょうか?尚、今回の内容については、留学生に対しては適用ができないケースがほとんどですのでご注意ください。
また、留学生以外でも、確定申告のステータスによっては使えないケースも有りますが、それは一体どのステータスでしょうか?ご興味のある方は弊社までご連絡ください。
例えば今回の様に教育費にかかった費用を個人の確定申告書で控除できる、等、日本の一律の確定申告に比べて米国の確定申告は、その人その人にあった控除が適用出来る様に感じます。もちろん、各個人が確定申告をしなければならない手間と費用の問題もありますが、しっかりとその内容を知ることにより、積極的に様々な控除を利用する環境にある点は、基本一律で処理をする日本と大きく異なる点といえるでしょう。
本記事のおさらい問題
さて、おさらいです。どこまで把握できているかご自身に問い掛けてみましょう。
- 留学生はアメリカの確定申告において、税額控除を適用できる?
- アメリカン・オポチュニティ、生涯学習クレジットを選択した場合、学生生活に関わる家賃・交通費等の生活費も控除の対象となる?
- 学生ローンに掛かる利子は控除できる?
参考リンク
http://www.irs.gov/uac/Tax-Benefits-for-Education:-Information-Center
以上はあくまで一般的な情報であり、実際のケースとは異なる場合がございます。個別のケースに関しましては、弊社までお問い合わせください。また、本記事は、2013年8月22日における税制を元に記載した内容となっておりますので、予めご注意ください。
リーディングカンパニー米国公認会計士事務所