さて、2014年も残す所1月となりました。確定申告のシーズンが少しずつ迫ってきているとも言えるでしょう
そんな中で、今回は一足早く2015年の所得税の変更について見ていきましょう。
なぜ2015年の変更なのか?
そもそもなぜ2014年の変更点ではないのか?ということですが、2014年の変更点に関しましては後日、まとめさせて頂くとしまして、今回は2015年の変更にスポットを当ててみましょう。
このタイミングで2015年の変更が発表されるのは、2015年に入って収入を得てから所得税を設定するのでは遅すぎるためです。
所得税率の変更について
基本的に税率そのものに変化はありません。
ですが、アメリカも日本と同様累進課税の仕組みをとっているため、それぞれの収入の枠(Bracket)があり、その枠が変わりました。
今回はSingle、及びMarried Filing Jointlyの2つの方法について、2013-2015年の比較で見てみましょう。
税率 | Single (独身者) | ||
---|---|---|---|
2013年 | 2014年 | 2015年 | |
10% | up to $8,925 | up to $9,075 | up to $9,225 |
15% | $8,926 to $36,250 | $9,076 to $36,900 | $9,226 to $37,450 |
25% | $36,251 to $87,850 | $36,901 to $89.350 | $37,451 to $90,750 |
28% | $87,851 to $183,250 | $89,351 to $186,350 | $90,751 to $189,300 |
33% | $183,251 to $398,350 | $186,351 to $405,100 | $189,301 to $411,500 |
35% | $398,351 to $400,000 | $405,101 to $406,750 | $411,501 to $413,200 |
39.6% | $400,001 or more | $406,751 or more | $413,201 or more |
税率 | Married Filing jointly (夫婦合算申告) | ||
---|---|---|---|
2013年 | 2014年 | 2015年 | |
10% | up to $17,850 | up to $18,150 | up to $18,450 |
15% | $17,851 to $72,500 | $18,151 to $73,800 | $18,451 to $74,900 |
25% | $72,501 to $146,400 | $73,801 to $148,850 | $74,901 to $151,200 |
28% | $146,401 to $223,050 | $148,851 to $226,850 | $151,201 to $230,450 |
33% | $223,051 to $398,350 | $226,851 to $405,100 | $230,451 to $411,500 |
35% | $398,351 to $450,000 | $405,101 to $457,600 | $411,501 to $464,850 |
39.6% | $450,001 or more | $457,601 or more | $464,851 or more |
上記の表から分かる通り、全ての枠において2013年度より2014年、2014年より2015年の方がその金額が高くなっていることがわかります。
以下具体的な例を採って見て行きましょう。
例えばSingleの場合、課税される所得の金額が$9,100だったとして、2013年度、及び、2014年度では税率は15%となりますが、2015年度に関しては$10%ですむことになります。
尚、$9,100全額に対して15%が課税されるわけではなく、その枠の金額を超えた分に対してその率の税金がかけられることになります。
そのため、今回のケースですと、各年の所得税は以下のとおりとなります。
- 2013年度:$8,925 x 10% + ($9,100 – $8,925) x 15% = $918.75
- 2014年度:$9,075 x 10% + ($9,100 – $9,075) x 15% = $911.25
- 2015年度:$9,100 x 10% = $910.00 (枠の$9,225を超えないため、全て10%)
*単純化のため他の全ての要素を抜きにしての計算となります。
これはつまり、同じ所得でも年々税金が下がっている、ということになります。
基礎控除の金額の変更
基礎控除とは、所得の多寡にかかわらず控除することができる金額です。
こちらも同じように見てみましょう。
基礎控除 | ||
---|---|---|
2013 | 2014 | 2015 |
$3,900 | $3,950 | $4,000 |
上記の様に、こちらの金額も上がっていることがわかります。
控除の金額が上がっているわけですから、年々課税される所得が下がっている、ということが言えるでしょう。
標準控除の金額の変更について
さて、実際にあった収入の全てが課税される、というわけではありません。
その収入から色々な控除を取ることにより、実際に課税される所得(課税所得)を算出することになるのですが、殆どの人が使うことのできる控除にこの標準控除があります。
この標準控除に関しても、上記と同じ様に見てみましょう。
標準控除(独身者) | 標準控除(夫婦合算申告) | ||||
---|---|---|---|---|---|
2013 | 2014 | 2015 | 2013 | 2014 | 2015 |
$6,100 | $6,200 | $6,300 | $12,200 | $12,400 | $12,600 |
この数字が上がっている点からも、同じ所得の場合には、最終的に課税される金額(課税所得)が下がる事になります(標準控除を選択した場合)。
外国勤労所得控除
外国勤労所得控除とは、アメリカ国外で発生した所得の一部をアメリカ国内における所得の計算から除外する事のできる仕組みのことです。
これは、そもそもアメリカの市民権・永住権を持っている人は、仮にアメリカ国外に居住し、その国で所得が発生しても、アメリカでその所得を申告しなければならない、とされているためです。
そのため、この外国勤労所得控除の限度額を超える所得に関しては、実際の居住国のみならず、アメリカでも課税される可能性がある、ということです。
さて、それではこの控除の限度額を見てみましょう。
外国勤労所得控除限度額 | ||
---|---|---|
2013 | 2014 | 2015 |
$97,600 | $99,200 | $100,800 |
上記の様に限度額が上がっていることから、アメリカ国外で発生した所得に対して、控除できる限度額が上がった事になります。
まとめ
さて、上記の様に見ていくと、2013年から2015年にかけて、全ての項目で所得税が下がる方向で調整されていることがわかります。
これらの調整は、近年のインフレーションを考慮した調整となっている様です。
この様に、個人で確定申告をしなければならないアメリカにおいては、上記の様な税務上の変更を納税者が直接感じることができるため、毎年細かい調整がなされています。
こういった点は、個人が政治に関心をもつ土壌になっているのかもしれませんね。
参照
http://www.irs.gov/uac/Newsroom/In-2015,-Various-Tax-Benefits-Increase-Due-to-Inflation-Adjustments
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