さて、今回はアメリカにお住まいの皆様が、日本で起業する際の日本における創業資金の融資について見て行きましょう。今回ご紹介するのは、日本政策金融公庫の融資制度の1つである、新創業融資制度です。
創業して間も無い時は、ビジネスを始めるまでに開業資金が必要になり、創業後は、ビジネスを維持する為の資金が必要となります。それら全てを自己資金で補う事が出来れば良いのですが、開業資金の目標額を達成するまでに、どうしても開業時期を早めたいということもあるかと思います。
一般的に、融資、即ち、ローンを組む際には、何かしらの担保や保証人が必要となりますが、今回ご紹介する制度は、 無担保、無保証での融資が可能な制度です。また、無担保、無保証といっても、日本の財務省所轄の政策金融機関が提供する制度ですから、融資を受ける側も安心できるのではないでしょうか。
いくらまで融資してくれるのか?
まず融資の上限額ですが、1,500万円 となっています。この融資額の限度は、必ずしも1,500万円を融資してくれるというものではありません。日本政策金融公庫への申請内容、及び、融資規定がありますので、個別に問い合わせが必要となります。
新創業融資制度を使う場合の返済期間と金利は?
2013年9月現在で、返済期間は、運転資金としての利用であれば、5年以内、設備資金としての利用であれば10年以内となっています。また、金利(年利)は、3.6%から3.9%(2013年9月30日現在)となっています。 当記事に記載している金利は、現時点での金利情報であり、変わることがありますので、日本政策金融公庫のウェブサイトをご参考いただくか、直接、当機関へお問合せください。
融資条件
日本政策金融公庫が、あなたに融資をするには、あなたがどんな人で、何をしようとしているのか、どのようなビジネスなのか、ビジネスの計画がどうなっているのか等に関心があることは間違い有りません。さて、融資条件はどのようになっているのか見て行きましょう。
- 創業の条件として、新規事業を始める方、及び、事業開始後2年以内の方(法人税務申告書を2期分終えていないこと)
更に、下記のいずれかに該当すること。
- 雇用の創出を伴う事業であること
- 技術やサービス等に工夫を加え多様なニーズに対応する事業を始める方、又は、既に行っている方
- 現在勤めている企業と同業種で事業を開始すること、又は、既に行っている方で:
- 現在の企業で継続して6年働いている方
- 現在の企業と同じ業種で通算して6年以上働いている方
- 大学等で習得した技術・知識に関連した密接した職種に継続して2年働いており、その職種に密接に関連した事業を行う方、又は、既に行っている方
- 融資額は、創業資金、及び、事業開始後に必要となる事業資金に用いること
民間金融機関と政府金融機関との違い
なぜ、このような無担保、無保証人で融資をしてくれる制度があるのでしょうか。これには、民間金融機関と政府金融機関とでは大きな違いがあることを理解する必要があります。
まず、民間金融機関は、お金を貸し、返済額に利子を上乗せし、その利子で儲けるというのがビジネスモデルである、ということに対して、政府系金融機関は、あくまで税金で運営されている機関になりますので、新規事業を増やし、そして、その新規事業者から将来入ってくる税収を増やす事を目的としています。
民間企業が新規事業者へ貸し渋りをするのは、新規事業者のビジネスが必ずしも成功するとは限らないので、当然の事ながら、安全な事業にしか融資を行わないでしょう。その反面、政府系金融機関は、新しいビジネスを支援することが目的なので、融資を受けるまでの時間も他機関に比べ短いのも特徴の1つです。
融資の申請を行うまでにすること
融資の申請を行う迄に以下の準備をしておくことをお勧め致します。
- 創業の動機を明確にすること
- 創業する事業内容に関して、顧客のニーズや時代の流れを把握しておくこと
- 創業する事業に必要な、専門知識、経験は十分かどうか
- 日本における一般的な法律、労務、経理、会計、税務等の経営知識があるかどうか
- 家族の理解があるか、又は、承認を得ているか、協力してくれるかどうか
- 創業場所、地域は定めているかどうか
- 雇用する際の従業員人材像が明確かどうか
※雇用創出が融資条件の1つでもありますので、具体化する必要があることが考えられます。 - あなたの事業におけるサービスや商品は、同業他社に無い魅力的なものかどうか
※同業他社に無い新しく魅力的なサービス・商品ということも、融資条件の1つに入っています。 - 自己資金をある程度準備しているかどうか
- 財務計画を立てているかどうか
- 以上の内容を事業計画書としてまとめているかどうか
以上の準備が終わった後、
- 日本政策金融公庫が指定する創業計画書
- 法人の場合、履歴事項全部証明書、又は、登記簿謄本
- その他、事業内容ごとに必要な書類、及び、当機関が指定する書類
アメリカから日本に進出される方へ
アメリカから日本に進出される方が、ここで紹介している様な融資制度を利用できるかを確認する際は、当該機間へお問合せください 。
本記事のおさらい問題
さて、おさらいです。どこまで把握できているかご自身に問い掛けてみましょう。
Q1)日本政策金融公庫の融資制度、新創業融資制度での融資限度額は?
Q2)新創業融資制度は、新規事業者と事業開始から何年以内の人までが対象?
Q3)これまでに経験したことが無い事業内容でも融資を受けることが可能?
尚、以上はあくまで一般的な情報であり、実際のケースとは異なる場合がございます。個別のケースに関しましては、弊社までお問い合わせください。また、当サイトの情報によるいかなる損失に関しましても弊社では免責とさせて頂きますこと、予めご了承ください。
参照
http://www.jfc.go.jp/
上記の情報は、あくまでも2013年9月時点における情報となっています。また、以上はあくまで一般的な情報であり、実際のケースとは異なる場合がございます。個別のケースに関しましては、弊社までお問い合わせください。
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