さて、以前、アメリカ税金控除(引越しに掛かる費用)について、という記事がありましたが、今回はアメリカで家を売却した際に注意しなければならない税金について考えて行きましょう。
引越しの際に、賃貸から賃貸、という引越しの場合ならば良いのですが、もし持ち家からの引越し、特に日本からアメリカに帰る時等には、今まで住んでいたアメリカにある家の売却をしなければならない、ということもあるでしょう。
そんな時に、自宅の売却についての正しい知識を持っていないと、売却した金額そのものに税金を掛けられてしまいかねません。余分な税金を支払わない為にも、しっかりとした知識でもって、どの様なポイントに注意をするべきかを見て行きましょう。
売却する時に利益が出るのか、損失が出るのか
売却する際に、購入した金額よりも高く売れれば利益(Gain:ゲイン)が、低く売ることになれば損失(Loss:ロス)が出る、と言うことができます。損失の場合には特に気にすることはありませんが、利益の場合には特に注意しなければなりません。
また、利益が出る場合でも、過去5年間のうち2年間をその家で過ごしていれば、その利益の一部、また全部について税金を払う必要は無いかもしれません。
売却益の控除について
売却する時に出た利益のうち、アメリカでは個人の確定申告の際に$250,000まで、夫婦合算申告の場合には$500,000まで控除、つまり税金の計算から外すことができます。
これはあくまでも自宅として利用していた場合であり、投資目的で購入した物件から発生した売却益に関しては対象外ということに注意しましょう。
もし売却益を全て控除できることが明白な場合には?
売却した時に殆ど利益が出ていない、もしくは損失の場合には、確定申告書上で特に申告をしなくてもよい、とされている様です。
しかしながら、損失の場合にはともかく、もし少しでも利益が出ている場合には、後日当局よりさかのぼって指摘があることも考えられるので、できる限り申告書に記載をしておくと良いでしょう。
売却した際に、何らかのFormを受け取った場合
不動産を売却した際に、Form 1099-S Proceeds From Real Estate Transactionsというフォームを受け取ることがあります。
もしこの書類を受け取った場合には、確定申告にて申告をする必要があります。また、不動産売却に関するアメリカの個人確定申告書ですが、Form 1040に付随するSchedule D – Capital Gains and Lossesに売却損益額を記載、Form 8949 -Sales and Other Dispositions of Capital Assetsへ詳しい取引内容を記載し、提出することになります。
自宅を複数個所持している場合
自宅を複数個所有している場合には、主として利用している自宅の売却益のみ控除することができます。
つまり、もし2つの家を所持し、そのどちらも利用しており、かつ同年に2件とも売却した場合には、より多くの時間を過ごした方が主たる自宅としてみなされ、もう一方の自宅の売却益に対しては税金を支払う必要があるでしょう。
さて、以上はアメリカで自宅を売却する際の簡単なポイントとなります。
もちろん、大きな金額が動く以上、購入や売却に必要となった書類はしっかりと管理しておくと良いでしょう。また、購入・売却を行った年には、確定申告の際にアメリカの会計士にもしっかりと説明をしておくと良いでしょう。
本記事のおさらい問題
さて、おさらいです。どこまで把握できているかご自身に問い掛けてみましょう。
Q1)Form 8949とは、何を記載する申告書ですか?
Q2)自宅を複数所有している人が、同年内に両方とも売却し、売却益を得た場合は、両方の売却益に対して、控除が適用される?
Q3)日本からアメリカに、家賃収入を目的として不動産投資をしていました。その不動産を結局売却したのですが、その際の利益は控除できますか?
Q4)自宅の売却益を控除できることを知らずに、昨年売却益全てを利益として申告してしまいました。どうすればいいですか?
回答をご希望の方は、弊社までお問合せください。
参照
IRS:
http://www.irs.gov/publications/p523/index.html
http://www.irs.gov/uac/Newsroom/Net-Investment-Income-Tax-FAQs
上記の情報は、あくまでも2013年9月時点における情報となっています。また、以上はあくまで一般的な情報であり、実際のケースとは異なる場合がございます。個別のケースに関しましては、弊社までお問い合わせください。
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