アメリカの金融機関から要求されるForm W-8BENとは?

アメリカ側が要求 海外在住の証明?さて、今回はForm W-8BENという書類について見ていきましょう。

Form W-8BENとは?

このW-8BENという書類は、正式名称は“Certificate of Foreign Status of Beneficial Owner for United States Tax Withholding”であり、直訳すれば“アメリカの源泉徴収における受益者の海外在住の証明書”とでもなりますでしょうか。
簡単にいえば、‘アメリカの利息 (interest income) 、配当 (dividend income)、特許等の使用料(royalty income)等を受け取る人が、“アメリカの居住者ではなく日本の居住者です”ということを主張するための書類となります。
この書類に関係する人は、日本に住んでいながらアメリカから何らかの利益、つまり、利息や配当を受け取る人となります。つまり、日本に住んでいながらアメリカの銀行に口座があったりアメリカの株、不動産等に投資をしている場合には、この書類が必要となります。
 

そもそもなぜこの様なフォーム(Form W-8BEN)が必要になるのでしょうか?

これは、日本とアメリカの税率や課税方法といった仕組みの違いに由来します。
世界が一つの国であったのなら、税法というのはそれほど難しくは無いのかもしれませんが、日本とアメリカの税法の違いにより、その違いを調整する必要が出てきます。その結果、2国間で結ばれたのが日米租税条約となります。
通常、アメリカで所得がある場合には、当然アメリカ国内で課税されます。それと同様に、アメリカで発生した利子や配当といった所得も、アメリカ国内で課税されることになります。
しかしながら、この日米租税条約により、日本の居住者が受取人である、アメリカで発生した利子や配当等の所得については日本で課税される、とされています。
つまり、アメリカで発生した所得であっても日本で課税される、という事になります。これは、利息や配当の受取人がアメリカの居住者か日本の居住者かによって、利息や配当金を支払う際に源泉徴収をする必要があるかどうかを決める必要がある、ということです。
 

アメリカの金融機関が必要としていることは、あなたが日本の居住者ですよという証明書

さて、そうなると困るのはアメリカで発生した利息や配当を支払う銀行・投資会社等です。アメリカでの利子や配当金を支払う際に、受取人がどこに住んでいるのかを確認する必要が出てくるからです。
そこで、自分はアメリカに住んでいるのではなく、日本の居住者ですよ、ということを銀行・投資会社等に知らせる必要が有る為、このForm W-8BENを銀行や投資会社等へ提出することにより、間違って源泉徴収されてしまうのを防ぐ事ができるわけです。
上記の点をまとめると、以下の図の様になります。
W-8BENの提出の効果
*上記の図はあくまで簡易的な図であり、全てのケースに当てはまるわけではありません。
**租税条約上、10%を限度としてアメリカ国内でも源泉徴収をされる事があります。この源泉徴収された金額と所得によっては、アメリカで確定申告をすればその分が返ってくる可能性もありますので、アメリカ確定申告に関する詳しい情報は弊社までお問い合わせください。
***W-8BENは個人としての書類であり、法人用の書類としてIRSは2012年6月にW-8BEN-Eのドラフトを発表しています。実際の施行は2013年8月現在ではまだのようですが、引き続き注視していく必要があります。
さて、今後アメリカへの投資をお考えの人、またアメリカから日本に戻るけれど銀行口座はそのままにしておきたい、という人は、W-8BENの作成・提出が必要になる可能性が高いので、お気をつけください。
 

本記事のおさらい問題

さて、おさらいです。どこまで把握できているかご自身に問い掛けてみましょう。

問題1) 日本人ですがアメリカの居住者です。W-8BENの提出の必要はありますか?

問題2) 日本人ですが、アメリカの永住権を持っており、日本に住んでいます。Form W-8BENの提出の必要はありますか?

回答をご希望の方は、弊社までお問合せください
 
参照リンク
IRS:
http://www.irs.gov/pub/irs-pdf/fw8ben.pdf
http://www.irs.gov/pub/irs-pdf/iw8ben.pdf
http://www.irs.gov/pub/irs-dft/fw8bene–dft.pdf 
上記の情報は、あくまでも2013年9月時点における情報となっています。また、以上はあくまで一般的な情報であり、実際のケースとは異なる場合がございます。個別のケースに関しましては、弊社までお問い合わせください。
リーディングカンパニー米国公認会計士事務所

By : leadingcompany /9月 05, 2013 /ニュースリリース /0 Comment

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