日本では馴染みの無いチップ(Tips)という文化がアメリカには存在しているということ、皆さんご存知ですよね。レストランで食事を済ませた際、飲食代金に上乗せしてチップを支払います。この様な文化の無い国で育った場合、なぜチップなんて払わなければならないのだろうか、と思う方もいらっしゃることでしょう。
しかしながら、チップを受け取る側からすると、このチップ収入(Tip Income)は彼らにとって大きな収入源になっているというのも事実です。彼らは、雇用主(Employer)から支払われる給与の他に、このチップという収入が有ることで、生活が潤う為、少しでもお客様からチップを頂こうと努めるものです。
さて、このチップ収入、ご存知かと思いますがチップを受け取る側から見た場合、Taxable Income(課税所得)であり、毎年のアメリカにおけるタックスリターン(個人の確定申告)の際にも、申告する義務があります。よって、ここでは、課税所得であるチップ(Tips)を受け取った側が何をすべきなのかということにスポットを当て、説明したいと思います。
チップを受け取った側がすべき事とは?
日々のチップ収入に関して、すべき事は何でしょうか?それは、
(1)しっかりと記録を付け、
(2)その記録内容を雇用主(Employer)に毎月、及び、年1回チップ総収入を報告、更に、
(3)年一度の個人確定申告において、その合計チップ収入を申告する義務があります。
チップ収入を正確に報告しないとどうなるでしょうか?それは、もちろん脱税となります。脱税となれば、連邦政府、州当局から監査が入り、ペナルティを課せられることもあるでしょう。よって、チップ収入に対して、何をする必要があるのかということを知っておくだけではなく、記録をつけるということを心掛けましょう。
チップ収入に関する報告義務の要件
- チップを受け取る人で、1ヶ月あたり$20以上のチップ収入があった場合、報告義務が発生します。
誰が誰に対してチップ収入を報告するのか?
- チップを受け取った従業員(Employee)が、雇用主(Employer)に対して報告する義務があります。
いつまでにチップ収入を報告するのか?
- 毎月10日までに、雇用主(Employer)に対して、報告する義務があります。
- 例外として、その月における10日が、土曜日、日曜日、及び、祝日である場合は、その翌日を期限とします。
どのような内容を報告するのか?
基本情報
- チップを受け取る従業員の名前と住所(Employee’s Name & Address)
- 雇用主の名前(Employer’s Name)
- 西暦何年の何月分におけるチップ収入なのか
以下は、日々記録する内容
- 現金で受け取ったチップ収入額(顧客と従業員からの分け前)
- お客様がクレジットカードやデビットカードで支払ったチップが雇用主(Employer)からチップ受取人に支払われた額
- 雇用主からチップの代わりに、何かしらのチップ収入額に見合うアイテム(チケットやグッズ等)を渡された場合
- 他の従業員にチップの分け前を与えた額
- チップの分け前を与えた相手従業員の名前
報告する際のテンプレートは?
雇用主(Employer)から、報告する際に、このテンプレートを使ってくださいという指示が無い場合は、IRSが提供している当フォームを用いる事をお勧めします。
Form 4070A – 毎月提出する際に利用するフォーム
Form 4070 – 年1回のチップ総収入を雇用主に報告する際のフォーム
※上記、4070AもForm 4070も同じリンクとなります。Form 4070は、リンクページ内後部をご覧ください。
以下、その他、注意点を記します。
- レシートに記載されているお客様へのサービスチャージ(Service Charge)に対する収入は、チップ収入とはなりません。
- 雇用主があなたのチップレポート受取を拒絶したとしても、必ずチップ収入記録を付けておきましょう。
- 月の途中でチップ受取先を辞めた場合、辞める日までに雇用主に対し、チップ収入の報告をする必要があります
本記事のおさらい問題
さて、おさらいです。どこまで把握できているかご自身に問い掛けてみましょう。
- チップ収入には税金が掛かる?
- 毎月何ドル以上のチップ収入があると、雇用主に報告しないといけないか?
- 雇用主には何を報告する必要があるのか?
- 雇用主には毎月いつまでに報告する必要があるのか?
以上が、アメリカにおけるチップ収入に関してとなります。チップに関してご不明な点、困った事がある方は、弊社までご相談ください。
参考資料
IRS – Publication 531 http://www.irs.gov/publications/p531/index.html
IRS – Publication 1244 http://www.irs.gov/pub/irs-pdf/p1244.pdf
※上記の内容に関しましてはあくまで一般的なケースであり、全てのケースに当てはまるわけではございませんので、詳細に関しましては、弊社までお問い合わせください。
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