さて、以前転職にかかる費用について、控除できる経費のご紹介を致しましたが、転職に伴い引越しをしなければならない、という事もよくあることではないでしょうか。
そんな時に知っておかなければならないこと、それは、アメリカの確定申告において、引越しにかかる費用は所得税を算出する際に控除の対象になる、ということです。
ですが、何が何でも引越しにかかる費用なら控除できるか、というと、残念ながらそうはいきません。アメリカの確定申告において、控除の対象になる為には、以下の3つの要件を全て満たす必要があります。
引越しにかかる費用 控除可能な3つの条件
1. 引越しは仕事に関係があること
- 新しい仕事を見つけたらから引越しをする、というケースでは、その新し仕事を見つけて引越しにかかった費用が控除の対象となります。
- 予め仕事が見つかっている場合以外に、引っ越してから1年以内に更に新しい仕事を見つけた場合にもその経費を引くことができます。
2. 一定以上の距離があること
以下の図を見てみましょう。あなたは、新しい職場Aのリーディングカンパニー米国公認会計士事務所か、新しい職場Bで勤めることになりました。現在の自宅から新しい職場AもBも遠方です。
そこで、引越しをすることにしました。さて、控除が適用されるのはどちらの職場でしょうか?
- 新しい職場から以前の家までの距離(58miles)から、古い職場から以前の家までの距離(3miles)を引いた距離(58miles – 3miles = 55miles)が、50milesよりも大きければ、控除の対象となります。
- 逆に、新しい職場から以前の家までの距離(38miles)から、古い職場から以前の家までの距離(3miles)の差(38miles – 3miles = 35miles)が、50milesより小さい場合には、控除の対象とはなりません。
3. 労働時間について
- 引越しをしたてから1年間の間に、新しい職場で少なくとも39週間は働いている必要があります(同じ場所である必要はなく、続けて39週間である必要もありません)。
- 自営業者の方の場合には、上記の39週間に加え、引越しをしてから2年間の間に少なくとも78週間はフルタイムと同じ時間分働いている必要があります。
以上、引越しの費用を控除するためには、上記の3点を全て満たしている必要があります(例外はあります)。
また、引越しの費用として控除の対象になるのは、大きく分けて以下の2点です。
- 家具等の所有物を移動させる時に掛かる費用(検疫の費用等)
- 実際に移動にかかる費用(トラックのレンタル、ホテル代等)
*食事代はここでは控除の対象とはなりません。
もちろん、上記の控除の要件の3点を含めて引越し先を探す、ということはないと思いますが、もしその年に引越しをすることがあれば、控除の対処になる可能性があるので、しっかりとレシート等をとっておき、確定申告の際に確認することをお勧め致します。
ちょっとした疑問
さて、3.の労働時間に関して引越しをしてから1年間の間に39週間、2年間で79週間なんて、引越した年にはわからないのは?と気になった方はいらっしゃいませんでしたか?
もしこの点にご興味を持たれる方がいらっしゃいましたら、弊社までご連絡ください。
参照リンク
https://www.irs.gov/uac/About-Publication-521
※上記の内容に関しましてはあくまで一般的なケースであり、全てのケースに当てはまるわけではございませんので、詳細に関しましては、弊社までお問い合わせください。
リーディングカンパニー米国公認会計士事務所