出張だけでもアメリカで確定申告が必要?

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今回は出張だけでもアメリカで確定申告をしなければならないケースについて、です。

まず、大前提として誰がアメリカで確定申告をしなければならないのでしょうか?幾つか要件はありますが、そのうちの一つに、税務上のアメリカの居住者(Resident Alien)であること、というものがあります。
*税務上における居住者と移民法上における居住者の定義が異なるため、今回はあくまでも税務上のお話となります。

では、税務上の居住者とは、どの様な人が該当するのでしょうか?アメリカに1ヶ月滞在した場合は?3ヶ月の場合には?ということで、居住者の定義について見ていきましょう。
*Dual-Statusについては本記事ではなく別の記事にてご紹介いたします。

■ 税務上の居住者の判断は、下記の2つの方法がある
まず、税務上の居住者とみなされるかどうか、は、大きく別けて下記の2つの基準があります。

1. Green Card Test
Green Card Test (グリーンカードテスト) とは、当該年の一時でもアメリカにおける合法的な永住権、市民権を持っていた場合には、その年はアメリカの税務上の居住者とみなされることになります。
つまり、12月31日にグリーンカードを取得した場合、その年はアメリカの居住者として申告することができる、という事になります。

2. Substantial Present Test
一方、Substantial Present Test (サブスタンシャル プレゼント テスト) については、グリーンカードには関係なく、実際の滞在日数を基準に判断する方法となります。こちらの基準がないと、1年間アメリカに滞在していても、グリーンカードも市民権もない場合には、税務上はアメリカの居住者とはみなされない、ということになってしまうためです。
このSubstantial Present Testは、以下の様に判断します。
1) 該当年度に31日以上アメリカに滞在しており、かつ
2) 該当年度の滞在日数 + 1年前の滞在日数の1/3 + 2年前の滞在日数の1/6 ≧183日

表題の出張の場合では、こちらの基準に該当するかどうか、がポイントとなります。

例えば、1年だけの出張であっても、該当年度に183日以上アメリカに滞在している場合には、グリーンカード等を持っていなくても、既にその年は税務上アメリカの居住者とみなされ、日本での所得もアメリカの申告書に含める必要が出てくる、という事になります。

では、もしこれが毎年120日ずつ3年間アメリカに出張している、という場合ではどうでしょうか?
上記の式に当てはめると、以下の様になります。
120日 + 120日 x 1/3 + 120日 x 1/6 = 180日となり、183日に満たないため、税務上はアメリカの居住者ではない、ということになります。
こちらの判断基準ですと、数日の差が大きな違いとなることも考えられるため、注意が必要です。

さて、今回は出張でも税務上アメリカの居住者となりうる、という点についてお話をしましたが、いかがでしたでしょうか?
毎年出張される方も多くいらっしゃるかと思いますが、こういった点についてもご注意いただいた方が良いでしょう。

*尚、居住者・非居住者の判断は他の要素も考慮に入れる必要があるため、実際の判断の際には専門家のアドバイスをいただくことをおすすめいたします。

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リーディングカンパニー米国公認会計士事務所

参照
https://www.irs.gov/individuals/international-taxpayers/determining-alien-tax-status
https://www.irs.gov/individuals/international-taxpayers/alien-residency-green-card-test
https://www.irs.gov/individuals/international-taxpayers/substantial-presence-test

By : leadingcompany /8月 10, 2017 /ニュースリリース /0 Comment

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