アメリカ確定申告の義務がありますか?

よくあるご質問:アメリカ確定申告をする必要がありますか?

日本人の方を対象にアメリカの確定申告書作成サービスを行なっていますと、「わたしはアメリカで確定申告をする必要があるのでしょうか?」という質問をよくお受けします。特に、日本人の方でアメリカでの確定申告を気にされる方の多くは以下のパターンのうちのどれかに当てはまることが多いようです。

  • 日本から特殊なビザ(F、J、M、Q等)で来られている方
  • 年の途中で米国にいらっしゃった方
  • 年の途中で日本へ帰国された方
  • 帰国される際に永住権を放棄された方
  • 年の途中で永住権を取得した方

これに加えて、所得の金額はどうなのか、所得はあるがどの様な所得なのか等、書ききれない程のパターンがありますが、ここでは具体的にどの様なステップで、アメリカでの確定申告が必要かどうかを判断するのかを考えてみましょう。
一般に申告の有無については以下の流れで考えることができます。

  • ポイント その1! 日米租税条約における対象となるビザ(F、J、M、Q)を保持しているかどうか?
  • ポイント その2! 居住者(Resident:レジデント)か非居住者(Non-Resident:ノン・レジデント)か?
  • ポイント その3! 総所得の金額が、申告義務を超えるかどうか?
  • ポイント その4! 居住者・非居住者のメリット・デメリット
  • ポイント その5! アメリカでの確定申告義務はないが、申告をすれば還付になる?

 

1.日米租税条約における対象となるビザ(F、J、M、Q)を保持しているかどうか?

まず、租税条約の対象になるビザ(F、J、M、Q)かどうか、を考えます
これは、それ以降のステップにおいて大きな影響を及ぼすからですが、ビザによって細かく分かれているため、今回は租税条約の対象ではなかったとして話を進めて行きましょう。
 

2.居住者か非居住者か?

次に大切なのは、納税者のアメリカにおけるステータスが何なのか、です。
アメリカにおける申告書の種類としては、Form1040(米国居住者扱いの場合)Form1040NR(非居住者の場合)があり、米国におけるステータスによって、そのどちらを使うのか、もしくは両方同時に使うのか、を決めることになります。
*尚、ここでは連邦における居住者・非居住者の判定についてのみの基準であり、州によって異なるルールがございますので、詳細は弊社までお問い合わせください。
**ここでの基準はあくまで税法上の基準であり、移民法等とは異なるケースがございます。
 
まず、あなたが以下のどれかに該当する場合には、あなたは居住者として判定されます。

1)     市民権、もしくは永住権(グリーンカード)を持っている場合で、かつそれが放棄されていない場合

こちらについては、例えば年の途中で永住権を放棄した場合には居住者判定の上では非居住者とみなされることはありますが、例えば12月31日に永住権を取得した場合には、居住者とみなされるうる、ということです。

2)     実際にどれほどの期間米国にいたか(Substantial Presence Test)

(ア)   これは、米国にいた期間が、申告の年を含む直近の過去3年間において、以下の方法で計算した際に183日を超える場合に該当します。
(イ)   計算方法:今年度の滞在日数+1年前の滞在日数/3+2年前の滞在日数/6
(ウ)   では、申告年度が2011年として、それぞれの滞在日数が以下の場合を考えてみましょう。

2011年(確定申告年) 10日
2010年 365日
2009年 365日

さて、このような場合で上記の計算式に当てはめてみましょう。
そうすると、10 + 365/3 + 365/6 = 10 + 122 + 61 = 193日となり、その年は10日しか滞在していないにもかかわらず申告の義務が発生してしまうことになってしまいます。
ところが、このテストには例外があり、もしあなたの確定申告の年(上記の例では2011年)における滞在日数が183日以下であり、かつ、実質的な居住地が米国以外の場合には、上記のテストを満たしている場合でも非居住者としてみなされます
 
以上、1)、及び2)でもってあなたの居住者・非居住者の判断はついたのではないでしょうか?
*これはあくまで税務上の居住者・非居住者の判定であり、申告義務の有無とはまた別の基準になります。
 
上記の説明をまとめたものが下記になります。
 
 
さて、以上で居住者・非居住者の判定となりますが、仮に上期で居住者とみなされても、例外的に居住者・非居住者両方のFormを同時に使うケースがあります。
これは一般的にDual Statusと呼ばれるもので、米国の居住者となった最初の年、もしくは米国の居住者としての最後の年に起こり得ます。
 
*あまり多くは無いケースですので、そういったものもある、という認識で良いでしょう。
**日米租税条約等で、一部のビザ(Fビザ、Jビザ等)については、一定期間の間、米国に滞在していても、所定のFormを出すことによって上記の滞在期間のテストに含まれない、というルールもあります。
 
これでまずはあなたが居住者か非居住者か、が決められたのではないでしょうか?
 
次に、居住者・非居住者それぞれの一般的な申告書の提出義務について考えてみましょう。
 
 

3.総所得の金額が、申告義務を超えるかどうか?

 
居住者の場合(2012年分申告書の場合)
さて、あなたが居住者として判定された場合、どれくらいの所得があった場合に申告をしなければならないのでしょうか?
下記がその簡単な指針となります。
 
 
ここでの最低金額、とは、総所得のことであり、必ずしもお給与だけではなく、例えば懸賞金等も含まれるのですが、これより大きく少ない場合には特に申告をしなくても大丈夫と考えて良さそうです。
*実際には、これに更に扶養家族がいるかどうか、自営業かどうか等も関係してきますので、詳細は弊社までご連絡ください。
 
非居住者の場合(2012年分申告書の場合)
さて、もしあなたが非居住者とみなされた場合の申告の要件は、アメリカで働いている、もしくは何かしらの形で所得があった場合、となります。
 
尚、非居住者の場合には、申告義務は働いていたり所得があったりすることですが、例外として、総所得が$3,800以下の場合で、かつ他に申告しなければならない理由が無いケース、もしくは日米租税条約上で課税対象となっていないビザの場合には申告しなくても良い、となっています。
 

4. 居住者・非居住者のメリット・デメリット

 
ここで、居住者と非居住者の申告書に関しまして、何点か違いを確認しておきましょう。
 
ここで重要なのは居住者とみなされる場合には全世界所得が申告の対象となり、非居住者の場合には米国内の所得のみが申告の対象となる、という点です。
仮に日本でも所得があり、かつ居住者とみなされる場合には日本の所得も申告する必要がありますが、もし非居住者とみなされる場合にはその申告の必要がない、ということです。
 
さて、これだけだと居住者のデメリットが大きく感じるかもしれませんが、その次の控除の項目、というのも実は大変重要です。
というのも、日本での所得や税金については2重課税の回避のために租税条約上として様々なルールが定められていますが、控除については米国内だけの話なので、特にそういった救済措置はありません。
ですので、控除項目の対象になる出費が多い人の場合には、居住者として申告をした方が良い、という場合が多いのです。
 
尚、基本的には日本での所得や、支払った税金について2重課税を回避できる様な仕組みにはなっていますが、2重課税が避けられないケースもありますので、ご不安な方は弊社までお問い合わせください。
 

5.申告の義務はないが、申告をすれば還付になる?

 
さて、今までの流れで、一定の金額の所得がなければ申告をする必要はない、というのがわかりましたが、実際には申告義務がなくても申告をするケースもあります。
それは、申告をすることによって還付となるケースです。
 
3.で最低金額として記載されている金額は、そのステータスで申告した際に与えられる最低控除の金額となっており、それ以下の所得で申告をしても税額が0になるのがわかっているから、という理由で申告義務がないとされています。
ですから、それ以下の金額で源泉徴収をされていた場合、申告をすることによって還付、つまり源泉徴収されていた税金が戻ってくることがあり得るわけです。
 
また、数ある控除の中には所得が0でも対象となる物もありますので、あえて申告をすることによりそういった控除を受け還付にするというパターンもあります。
ですので、そういった点も考慮に入れて判断する必要があると言えるでしょう。
*申告の義務があるのに申告をしないとペナルティが課せられてしまうかもしれませんが、申告すれば還付になるからといって申告しなければならない訳ではありません。
 
 
以上で個人申告書の提出が必要かどうか、についての簡単な説明は終了です。
本記事では、租税条約に該当するビザの人について、また、Dual Statusになる人については詳しく説明することができませんでしたので、その点に関してはまた別の記事にてご説明させて頂きます。
 
尚、上記につきましては、あくまで代表的な例を取り扱っており、実際の個人申告書については様々な法律・条約が絡んできますので、必ずしも上記のとおりにならない事がございます。個別のケースに関しましては、必ず専門家の判断を仰ぐようにしてください。
 
http://www.irs.gov/taxtopics/tc851.html
http://www.irs.gov/publications/p519/index.html
http://www.irs.gov/Individuals/International-Taxpayers/Taxation-of-Dual-Status-Aliens

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